第77章 愛しき君へ
善逸だけがケラケラと笑った。
「なるほどなー、あかり。凄い推理だ。光希そっくりだし、可愛いな、ははは。でも、流石にそれはないよ」
「…………」
「…………」
「…………」
他の三人は唖然としてあかりを見つめている。
「え?どしたの、皆」
「…………いや、……驚いた」
「この子……もしかしてとんでもない子なんじゃ……」
「光希に瓜二つだな」
「お母しゃん。あかり、ちがった?」
あかりは、とてとてと光希の前に来る。
「ううん。あかり、凄いね。よくわかったね」
光希はにこりと笑ってあかりの頭を撫でた。
「えへへ!」
あかりは得意そうに笑い、光希のお腹にぺたりと手を当てた。
「………は?」
そしてここに、まだ理解していない男が一人。
「え?…………………え?」
善逸は、目をぱちぱちとさせながら光希とあかりを見つめる。
「………どゆこと?」
「そのままの意味だけど」
「…………光希、赤ちゃん、出来たの?」
「理解が遅すぎる」
「戦場なら許されないぞ」
「二歳児より遅いなんてね」
怒涛のように皆から突っ込まれ、善逸の脳がようやく理解をする。
「どぅええええぇぇーーーっ!!!」
驚きが自制心を振り切って、善逸はひっくり返りながら汚い高温で叫んだ。
咄嗟に全員が耳を押さえる。
「うるさっ……!」
「耳がっ!」
「ぐっ…」
「お父しゃん、うるしゃい!!」
「えええぇ!だって……まさかそんな、え、だって……あり得なくない?嘘でしょ?ね、なんで?えええ?」
「なんだ善逸。心当たりがないのか」
「そ、そりゃ、ありますよ!ありますけど、……って子どもの前で何言わせるんですかっ!」
「お父しゃん、こころあたりってなに?」
「あ、あかりは知らなくていいっ!」
善逸はとにかく大慌てだ。
なんで、どうして、と盛大におろおろしている。
そんな善逸を、光希はあかりを膝に乗せながらじっと見つめた。