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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第77章 愛しき君へ


「炭治郎、カナヲちゃんは?」
「産後の肥立ちがちょっと悪くてな。でも随分回復したよ」
「そっか。心配だな。お大事にな。支えてやれよ」
「ああ」

「お前は診察どうだったんだよ、光希」
「え?大丈夫だよ」
「お前の『大丈夫』は天下一信用ならねえ」
「あはは」

「お母しゃん……」
「ん?あかり、大丈夫だよ」
「またげんきなる?」
「なるよー」
「あかりにまで心配かけんなよ」
「うん。ごめんね」
「謝ることはねえけどさ……」

「光希、無理するなよ」
「ありがと、炭治郎」

皆に心配をかけていることに、光希が俯く。

「帰るぞ」
「はい」

光希は起こさないようにそっと、炭佑を炭治郎に渡す。
炭治郎は片手で器用に息子を抱いた。

「じゃ、炭治郎、またな」
「カナヲによろしくね」
「たんちゃん、さようなら」
「ああ、またな」

炭治郎と別れて蝶屋敷を出る。

「光希、体調いいなら義勇さん家に行こう」
「ぎゆしゃん!」
「母さんもお前のこと心配してたからさ」
「ばぁば!」

「そうだね。このまま行こっか」

三人は冨岡邸に向かった。
しょっちゅう会いに行っているので、あかりは二人にベタ慣れしていた。


「ただいまー」
「あら、おかえりなさい」

三人が冨岡邸に着くと、千代が出迎えた。

「ばぁば!こんにちは」
「あかり、こんにちは」
「ぎゆしゃんは?」
「お部屋にいらっしゃるわよ」

あかりは一人で廊下を駆けていく。

「光希、どこか悪いの?ちゃんと診てもらった?」
「うん。大丈夫だよ」
「母さん、これ、嘘だから。信じないでくれ」
「失礼な!私は母さんには嘘つかない!」
「母さんにはってなんだよ!俺にも嘘つくなよ!」
「嘘じゃないって言ってるでしょ!」

あかりがいなくなると途端に喧嘩を始める二人。

「まったく、あんた達は……とにかくあがりなさい。お茶入れてあげるから」
「ありがとう、母さん」
「母さん、手伝うよ。善逸さん、先に行ってて」


善逸が義勇の部屋に行くと、あかりは義勇の膝に乗って、絵本を読んでもらっていた。

……鬼殺隊一の男前が、こうなるなんてな

微笑ましい姿に善逸は笑みをこぼす。
今や冨岡邸は、託児所かと思うほど赤ちゃんグッズで溢れていた。

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