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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第76章 家族


「……私とこの子を繋げてくれたのは、善逸さんだよ」
「光希……」
「感謝してもしきれないよ。ありがとう」

光希はそっと善逸に口付けをした。

「……あれま、師匠の家なのに」
「えへへ、あかりと間違えちゃった」
「……あんまり可愛いこと言って煽るとどうなるか」
「気を付けます!おやすみなさい」

光希はポフッと布団にくるまる。

「おやすみ、光希。おやすみ、あかり」

善逸も幸せの中で目を閉じた。



翌朝。
皆で朝餉を食べ、帰り支度をする善逸に義勇が声をかける。

「また来い。どうせ俺は暇だから」
「はい」
「不死川が来てるときにもな」
「はは、不死川さん見たら泣いちゃいますよ」
「いや、実弥さんはああ見えて兄ちゃんだから、赤子の扱いは上手いはず。義勇さんよりよっぽど」
「…………俺も、慣れれば……」
「ふふふ」

「善逸くん。光希が仕事のときも、おいで。一人で見るのは大変でしょ」
「でも、ご迷惑では」
「馬鹿ね。貴方も私の息子なのよ?私達は、もう家族なんだから。ね?……善逸」
「……はい。母さん」

「しばらく会わないと、人見知りするのだろう?泣かれたら少し悲しい。だから、ちゃんと顔を見せに来い」
「はい。……ありがとうございます」

玄関で、あかりを抱いた善逸が深く頭を下げる。


………俺には沢山家族が出来たんだな。こんなにも優しくて、こんなにも温かい家族が……


「泣くな。あかりが不思議がってるぞ」
「……はい」

義勇が善逸の頭を撫でる。

「またな、善逸」

「……はい!」
「母ちゃん、義勇さん。また来ます」
「ああ」
「ええ」

「では、また!」

善逸は「お邪魔しました」とは言わずに家を出る。自分はもうお客様じゃないのだから。

今度ここに来るときは「ただいま」と言って玄関をくぐろう。
そう思った。


多くの者を失った。
そんな中でも、人はまた生きていく。

手を取り合い、助け合い、愛し合って生きていく。幸せになるために。


「あかりにも、沢山の人と絆を繋いでほしい」
「そうね」
「炭治郎んとこと、冨岡さんのとこ交互に毎日行こうかな」
「いいね」
「皆の愛を受けて、お前は育つんだ!な!」


善逸が両手であかりを高く持ち上げる。
あかりはキャハハと声を上げて笑った。

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