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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第76章 家族


「おい、光希。なんとかしろ」
「慣れてください」
「だぁ、うー、なぁあ」
「登るのか?降りるのか?おい……」

わたわたとする義勇を、肩を震わせながら見つめる光希。抑えているが、めちゃめちゃ笑っている。

「我妻……」
「凄く動くんですよね。お転婆です。はは」
「笑ってないでなんとかしろ」
「うーん……、慣れてください」

二人が助けてくれないので、義勇はため息をつく。

「……千代、箱を」
「はい」

義勇の姿に千代も笑っていたが、返事をすると机の上の箱を義勇に渡した。

義勇は一度あかりから手を離し、彼女が落ちないように足で支えながら箱を開けた。

「……ほら」

義勇がそっとあかりの前に持ってきたのは、桃色の可愛らしいがらがら。
きょとんとするあかり。義勇はあかりの目の前でがらがらを振り、音を出してやる。するとあかりの顔がパアッと笑顔になって「きゃはは!」と笑った。

「わあ」
「冨岡さん、これ……あかりに?」
「そうだ」
「ふふ、あかりちゃん気に入ったかな?」

あかりは大喜びで手を上げて笑う。義勇があかりの手に渡してやると、小さな手で受け取って同じように振ってみせた。が、すぐに落としてしまい、あかりはどこにいったのかわからずにキョロキョロする。

「まだ下手くそだな」

がらがらを拾って、渡してやる義勇。

「鍛錬あるのみだ。どんなことでも頑張るんだ。お前の母さんは、強かったぞ」
「義勇さん……」

優しい眼であかりを見つめる義勇。
またすぐに落としてしまうあかりに、がらがらを拾って渡す。

「鍛錬が足らない」
「……ふふ、厳しいなぁ」
「知ってるだろう」
「はい。……よく知ってます」

「冨岡さん、ありがとうございます」
「ああ。ばぁばと、……おじさんからの贈り物だ」

「……っ、おじさ……!」

光希が噴き出す。

「いや、お兄さんでいいでしょ……っ!」
「我妻が父親だろう。俺がお兄さんのはずがない」

義勇も、あかりからの己のポジションを悩んだのだろう。光希は笑いすぎて目に涙を浮かべている。

「ぷくく…っ、まあ、義勇さんは私の兄さんみたいなものですからね……」
「ならば叔父で問題ないだろう」
「はい、義勇さんがいいなら」

あかりは、がらがらをしゃぶりながら義勇に笑いかけた。

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