第76章 家族
翌週の休日、光希と善逸はあかりを連れて炭治郎の家へ行った。
皆に結婚の報告をして、あかりの紹介をした。
「善逸、光希、おめでとう。良かったなぁ。本当に良かった」
炭治郎は涙を流して喜んだ。
禰豆子と伊之助はあかりを撫でている。
「ありがとな、炭治郎」
「ありがとう」
「我妻光希か。いい感じだな」
「へへへ、だろ?まだあんまり実感ねえけどな」
「家長としてしっかりしなきゃな、善逸」
「ああ」
「光希を頼むぞ」
「おう」
三人で喋っていると、「うあぁーーん!!」とあかりが泣きだした。
「ん?あかり?」
「ありゃ、泣いちゃったかな」
「もうっ!伊之助さん!突っついちゃ駄目でしょ」
「なんだこいつ、泣いたぞ!泣き虫だ!」
「赤ちゃんだから仕方ないの!」
禰豆子は伊之助からあかりを取り上げる。
炭治郎もすぐにあかりを撫でる。
「こら伊之助。あかりにごめんなさいしなさい」
「はぁー?!なんでだよ、炭治郎!俺はなんもしてねえぞ」
「年下を泣かせちゃ駄目だ」
「こいつが勝手に泣いただけだ!」
炭治郎と禰豆子は、泣いてしまったあかりをあやしていく。
「あかりちゃん、大丈夫よ。よしよし」
「ほーら、あかり、怖くない怖くない」
「……ぶ、あぅ、ばぁう」
「あ、もう泣き止んだ。まじか」
「凄い……」
そう。竈門兄妹は、……子育てのプロだった。
善逸と光希は強力な助っ人を得た。
「懐かしいな。六太を思い出すなぁ」
「そうだね、お兄ちゃん」
「可愛いなぁ、あかり」
「ふふふ、お手手ぷにぷに」
炭治郎と禰豆子も、あかりにメロメロだ。
「俺にも触らせろ!」
「伊之助!ゆっくり、ゆっくりな……」
伊之助も、今度はそっとあかりに触る。
炭治郎の膝に乗っているあかりの頭に手を置いて、わしっと撫でる。
「柔らけえ」
「だぁーうーあぅ」
「なんか喋ってら」
「嬉しそうだな、あかり」
「いひー!きゃーぅ!」
炭治郎の膝の上で、あかりが声をあげて笑った。あかりを見つめる三人の動きが止まる。
「こ、これは、凄い破壊力だな」
「笑った!可愛いっ!」
「ホワホワさせやがって……」
ポワンと頬を染める三人。
善逸と光希も、そんな仲間たちを嬉しそうに見つめる。この子を丸ごと受け入れてくれた彼らに感謝をした。