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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第11章 一本


善逸と付き合い出しても、光希はさほど変わらなかった。手紙を出す回数がやや増えたくらいで、相変わらず任務と鍛錬を繰り返す毎日だ。

善逸も落ち着いたようで、誰かが光希の事を好きだとかいう話を聞いても取り乱さなくなった。たまにくる手紙を嬉しそうに読んでいた。


そんなある日、光希は久しぶりに義勇と合同任務で、遠くの小さな村に出かけた。
二人で逆転の呼吸を使い、異能の鬼を撃破した。しかし、死者は出なかったものの怪我人が多く、手当てなどの後処理に時間がかかってしまった。
朝日が上ってもまだ村を出られず、村長に引き留められたことも合って、帰路についたのは日が高くなってからだった。


帰り道。

「娘さん、貰えばよかったのに。綺麗な人でしたね。村長さん、すごく義勇さんのこと気に入ってましたね」
「……いらん」
「そもそも義勇さんが結婚してれば、俺が妙な噂を立てられることもなかったんだ」
「………」
「まあ、俺たちいつ死ぬかわからない仕事ですからね。嫁なんてもらえないか」

喋ってないと寝てしまいそうで、光希はいろいろ喋っていたが、義勇はほとんど黙ったままだった。


やっと遠くに屋敷が見えた。

「帰って来られた。ふぅ……」

安堵の顔を見せる光希。
義勇にも疲れが見える。義勇の場合、鬼殺での疲れより、村長からの娘を娶れ攻撃に辟易した感じはあるが。

家に向かって歩いていると、「あ!兄ちゃんだ!!兄ちゃん!」「兄ちゃん!こんにちは!」「兄ちゃん!あそぼー」と子どもたちが竹やぶから飛び出してきた。
足を止める光希。先に帰っててください、と義勇に言って子どもたちに近づく。

「おー、皆で遊んでたのか?」
「うん!」
「よかったなー。今日は天気もいいからな」
「ねぇ、兄ちゃん、あのおじちゃん誰?」

子どもが義勇を指差す。
おじちゃん…!足を止めて様子を見ていた義勇は驚き、光希は苦笑いする。


「おじちゃんじゃないぞ、お兄さんだ。あのお兄さんは、俺の先生だ。剣のな」
「せんせー?」
「そうだ。物凄く強いんだぞ」

そう言うと一番小さな男の子がとてとてと走って義勇の足元へ行った。
あっ、と光希は焦る。義勇は子どもが苦手だ思ったからだ。

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