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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第76章 家族


「おしめかな」
「そうかも」

善逸は赤子を布団に寝かせておしめを換える。

「おお……、大量」
「あら、女の子なんだね」
「当たり前だろ?誰が男なんか引き取るか」
「…………」
「……冗談だって。引かないでよ」

話しながら手早くおしめを換えていく善逸。
彼はこの子を引き取るにあたり、やり方を一通り教えてもらってきた。
食具や布団などの子育てセットも、もらってきたものだ。

おしめを換えると、赤子は指を吸いながらご機嫌になった。

「すっきりしたな」
「だぁぁ、あばば」
「可愛いなーもう」

赤子を抱き上げた善逸は、顔が蕩けている。

父親というよりは、まだまだお兄さんといった感じの善逸。それでも、この子に対して既に深い愛情を醸し出すこの優しい男性を、光希は心底愛しいと思った。

「あーもー、嫁にはやらねえ」
「ぶっ……早いでしょ」
「だって、見ろよ!可愛いだろ!!」
「うん、可愛いね」
「な?な?別嬪さんになるぞ。ふふふ」

光希は赤子に手を伸ばす。

「貸して、善逸さん」
「………おう」

その呼び名に頬を染めながら、照れくさそうに赤子を渡す善逸。

光希は恐る恐るその手に赤子を抱き、笑いかけた。

「……ふふ、本当に可愛いなぁ」
「だぁ、あぷ、ばばば」
「あ、笑った!」
「はは、光希のこと好きなんだな」

赤子は光希の指を、小さな手できゅっと握る。

「うわぁ、手ぇ、ちっさ……」
「うん」
「爪、ついてるんだね」
「うん。伸びるんだぜ、これ。この小さいのを切らなきゃいけないの」
「こ、怖すぎ……、指切っちゃいそう」
「だよな……」

二人で赤子を覗き込む。

「いろいろ大変だけど、……頑張ろうね」
「光希……」
「二人なら、きっと大丈夫」
「うん」

「……はじめまして。お母さんだよ。至らない点も多いかと存じますが、これから先、末永くよろしくお願いします」

赤子に向けて丁寧に挨拶をする光希。「堅いわ!」と善逸が笑う。


「ありがとう、善逸さん」

光希がそう言って泣きそうな顔で笑うから、善逸も泣きそうになる。
善逸は目尻に溜まった涙を指で乱暴に弾き、「こちらこそ」と、赤子ごと光希を抱きしめた。

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