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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第76章 家族


光希を抱きしめる善逸の手から力が抜ける。

「はぁ……よかった……、緊張した……」

「震えてる」
「はは……ごめん、俺、格好悪……」
「格好悪くないよ」
「ん」

光希は涙を拭いて、受け取った櫛を見る。

「凄く綺麗な装飾……」
「でしょ。めちゃめちゃ迷って死ぬ程探した」
「ありがとう。大切にするね」
「うん」

善逸は光希に優しく口付けをする。

「やっと、承諾してもらえた」
「作戦成功……なのかな」
「ふふふ、俺もなかなかやるでしょ」
「愚策と紙一重だよ。失敗したらどうするつもりだったの」
「絶対に失敗しないってわかってたから」
「へぇ」
「お前の性格くらい百も承知。一度抱っこさせればこっちのもんだと思ってたよ」
「………なるほど。いい読みだね」
「へへへ」

善逸は嬉しそうに笑う。
光希の肩をそっと押し、畳に寝かせた。優しく覆い被さり、愛おしそうに頬を撫でながら顔を寄せる。

「やっと……やっと手に入れた。今日からお前は俺のもんだ」
「それこそ今更です。前も言ったけど、私はとっくに貴方のものですよ。……善逸さん」
「……っ、可愛すぎっ」


善逸は光希に激しく口付けをした。

口付けは次第に深いものになっていき、善逸の舌が光希の口内に侵入し始める。

「きゃっ!ね、ちょ、ちょっと……」

手は腰をまさぐり、足を絡めてくる。
完全にスイッチの入った善逸。腰を触っていた手が胸へと伸びる……


その瞬間、「ふぎゃあぁ、ふぎゃあぁ!」と赤子が泣き出した。

「!!!」

ガバッと飛び起きる善逸。

「はいはい!どうしたのかなー?」

泣き叫ぶ我が子の元へすっ飛んでいった。
すぐに抱き上げて、よしよしと声をかけてあやす。赤子は善逸の腕の中で叫び声をあげている。


「なるほど、これからはこういう邪魔が入ってくるってわけか……」

あやしながら、少し不満をこぼす善逸。

「よーしよし、いい子いい子。んー、少し空気読んでくれると嬉しいなあ」
「……ぷっ」
「なに笑ってんの」
「ぷくく……いや、別に」

光希は乱れかけた着物を直して善逸の側にくる。

「まあ、我慢はしなきゃね」
「わかってるよっ」
「お父さんなんだから」
「………おう」

善逸に寄り添うように、光希が笑った。


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