• テキストサイズ

雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第76章 家族


「お前、自分が何してるかわかってんのか?」
「わかってる」
「そんなことの為に、この子の人生を奪っていいと思ってんのか!」
「奪ってない。奪うんじゃないんだ」

「……今すぐ申請を取消せ。その子も返しにいくぞ」
「嫌だ」
「馬鹿も程々にしろ!お前の我儘で、この子の人生を巻き込むんだぞ!親になるってこと、ちゃんとわかってんのか!まだガキのくせに!責任とれんのかよ!!こんなことが許される訳が、」

「ふぎゃぁぁー!!!!」
「!!!」
「!!!」

光希の怒鳴り声で赤子が泣き出した。
はっとして自分の口を塞ぐ光希。


「よーしよし、ほらほら大丈夫だよー」
「……ご、ごめん」
「もう、大きい声出しちゃ駄目でしょが。怖かったねえ、大丈夫大丈夫」

善逸は泣き喚く赤子を抱きしめて、背中を優しくトントンと叩いてあやしていく。

「ふぎゃっ、ふぎゃぁっ、ふんぎゃぁぁー!!」

赤子は怪獣の様に泣いている。
なかなか泣き止まない。

「ど、どうしたら……」
「うーん、お腹すいたのかな」

オロオロとする光希と違って、善逸はあやしながら冷静に赤子を見つめている。

「ちょっと見てて、ご飯持ってくる」

そう言って善逸は光希に赤子を預けて立ち上がる。

「見ててって……どうしたらいいの?」
「抱っこしてて!すぐ戻る!」

善逸は部屋から走り出ていく。
唖然とするが、腕に乗せられた赤子は身をよじって泣くのでずり落ちそうになる。

「わわっ!」

慌てて身体を支えて落ちない様に抱く。

………こっわ。こんな小さい子、どうしたらいいの

子どもは好きだが、赤子とはほとんど触れ合ったことがない光希。とにかく、怖い。なにかしたらすぐに死んでしまいそうな怖さがあった。


「泣かないで……よしよし」

善逸がしていたように、抱きしめて背中をトントンとしてやる。すると、次第に光希の耳を攻撃していた赤子の泣き声が落ち着いてくる。

「そうそう、いい子だね……よしよし」

赤子と共に光希の心も落ち着いてくる。
落ち着いてくると、触れ合っている部分から、自分よりも高い体温と速い鼓動が伝わってきた。


………あったかい


まだぐずってひっくひっくと泣いている赤子を、光希はあやし続けた。


/ 1083ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp