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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第76章 家族


光希と善逸は、再び付き合うこととなった。
善逸は隠れ家を掃除して、光希をいつでも迎えられるようにした。

しかし、やはり仕事が大好きな光希は、基本的に生家で過ごしている。
それにより、不貞腐れた善逸もいつもは炭治郎たちと暮らし、光希の休みの日に二人で隠れ家に来る、という形になった。



二ヶ月が過ぎた頃。

光希の私塾は彼女の策略が大ヒットし、今や話題の学問所。入塾希望者が後を絶たず、空き待ちをしてもらっている状態だ。
職員が村田と竹内だけでは足らず、職にあぶれた隊士たちに手伝いに来てもらって回している。


「ふうー……、今週もお疲れ様」
「お疲れ、光希」
「大変だったな」

「新たな枠の開講を検討しようか。あと、二階の自習室をもっと有意義に使えるように考えるよ。何か意見あったら教えてね」
「了解」

書類をまとめながら光希が二人に指示を出す。

「村田さん。竹内さん。毎週忙しいけど、いつもありがとうね。助かってるよ」

ちゃんと御礼を言う光希。
これが彼らのモチベーションになっている。

「いや、こっちこそだよ。ありがとな」
「本当にな。仕事、楽しいよ」

「それはよかった。じゃあ、また来週、よろしくお願いします」
「ああ、よろしく」
「お疲れ様」

三人の信頼関係は、この数カ月でしっかりと構築されている。
村田と竹内は『学び舎 藤袴』を出て帰っていった。


光希が残って来週の講義の準備をしていると、慌てた様子のチュン太郎が飛んできた。

「チュンチュン!」
「あれ、チュン太郎どしたの?」
「チュン!」
「ん?善逸に何かあった?」
「チュチュン!!」
「すぐに行った方がいい感じだね」
「チュン!!」
「わかった」

何が起きたのかわからないけれど、ここから二日間の休みはどのみち隠れ家に行くつもりでいたので、光希は急いで支度をする。

いつも着物に括り袴という動きやすい格好をしている光希。久しぶりに呼吸を使って林道を走る。
首元で縛った髪が揺れる。


………なんだろ…なにかあったのかな………


身体が鈍っていて速度が出ない。
気持ちだけが焦って、足がうまく回らない。


………くそ、鍛え直さなきゃ


悔しそうな顔をして、急ぎ隠れ家へ向かった。

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