第23章 修行と仕事
フーシャ村の家に戻るとまだニーナは一人で修行を続けていた。
『ただいま、ニーナ』
集中して気づいていないニーナに声をかけると嬉しそうに走りよってくる。
ニ「お帰りなさい!
早かったですね」
『簡単な届け物だったからすぐに終わったの』
ニ「そんなことまでしてるんですね」
『まぁね
休憩はもういいの?』
ニ「はい
もうちょっとだけ付き合ってもらえませんか?」
『わかったわ
でもニーナは十分に強いと思うけど…
自分で鍛えたの?』
ニ「天竜人から逃げたあとも一人で生きていかなければなりませんでしたから…
強くなければ生きていけない時代ですし…」
『そっか…
大変だったんだね』
ニ「でも今はこうやって側にいてくれる人がいて家族もいて、好きな人もできて、まだ会ったことないけど弟もできて幸せです!」
『私もあなたたちがいて幸せよ
この世界に来たのも皆に会うためだったからこうやって皆と家族になれて幸せ』
ニ「だから私もこの幸せをくれた皆を守るための力がほしいんです」
『それは私も同じ
一緒に強くなろうね』
この日からニーナは一日ごとに格段に強くなっていく。
恋歌の見立てではニーナの実力はエースやサボと変わらなくなるほどに…。
『うん、だいぶ体力もついたしこれじゃあサボの方がニーナに負けちゃうんじゃないかな』
修行をしはじめて数日で恋歌をそう思わせるようになるまで成長したニーナ。
ニ「そうですか?
私の目標が高すぎてあまりそうは思えないのですが…」
『ニーナの目標?』
ニ「もちろん私の目標は恋歌を守ることです
そのためには恋歌より強くならなければ!」
『ありがと
でも私だって強くなっていってるからね
新しい技も案外できたし』
ニ「ですよね…
あーあ、目標達成は遠いな…」
項垂れているニーナを恋歌はいとおしそうに見つめていた。