第21章 アラバスタ
『とりあえず動けるようにだけはしていきます』
ゾロの横に膝をついてしゃがみ一番出血の酷いところに帯を巻いていく。
『(古傷まで開きかけてる…
でも傷を治すとこの子たちのためにならない
自分の限界を知っておかないと戦いで無茶をするようになる)』
治すこともできるが、それを敢えてしないことでこの先の戦いで自分の限界を知っておいてもらおうと考えていた。
『これでとりあえずは動けるはずです』
出血を圧迫して止め、それを保つために帯を巻いた。
ムクリと起き上がったゾロは止まった出血に驚いてはいたが、抜けた血が元に戻った訳ではないので貧血気味のようだ。
ナ「さ、治療してもらったなら行くわよ!」
だが、ナミに無理矢理立たせられさっさと行くぞとゾロを引っ張る。
『あの、まだ動かさない方が…』
ナ「いーのいーの
うちのクルーは殺されたって死なないから」
ゾ「お前が決めんな!!」
ナ「それよりゾロ私足怪我して歩けないのよ
おんぶして」
ゾ「ふざけんな!!明らかに俺の方が重症だろ!!」
ナ「あーやばい、貧血…」
ゾ「嘘つけ!!」
『それだけ元気なら大丈夫ですね』
ミニコントを始めた二人を見て苦笑いを浮かべる恋歌。
残念ながら二人には仮面で表情は見えていないが。
ゾ「ったく、ほら行くぞ」
結局はゾロが折れてナミを背中に乗せる。
ゾ「いろいろすまなかったな
助かった」
『いえ、私のことは気にしないで行ってください』
ナ「ありがとう!!
さぁ行くのよゾロ!!皆宮殿に集まるはず!」
ゾ「お前はちょっと黙ってろ!」
最後まで怒鳴りあいながら走って去っていった。
『宮殿か…皆集まるのなら行ってみる価値はあるかも』
恋歌も宮殿に行くためその場から消えた。