第5章 フーシャ村へ買い物
10分ほど歩いて着いた先は予想通りというか案の定というか使われていない今にも崩れそうな小屋。
少し村から逸れて森の中に入ったので恐らく声を上げても誰にも聞かれることはないだろう。
こんな人気のない場所は恋歌にとっても力を使いやすいので好都合だった。
小屋に入ると1つのベッドと机、丸い椅子が3つしかない質素な部屋だった。
しかも埃っぽいのか、エースが軽く咳き込んだ。
恋歌はしゃがんでエースの背中を撫でながら手で口を押さえてやる。
中に入ったのは恋歌とエース、ぶつかった男と四人の男だけ。
これだけの人数がいると狭く感じる。
『もしやここを掃除でもしろと言うのですか?』
ちょっと冗談のつもりで言ってみた。
「そんなわけねぇだろ」
男が近寄ってきたのでエースを自分の背中に隠す。
『じゃあこの小屋に何の用があるんです?』
「ま、女が落とし前つけるための行動つったらひとつだろ」
急に腕を掴まれて立たされる。
掴まれた瞬間に恋歌は鳥肌がたった。
「のこのこ着いてくるお前もバカだよな」
やたら顔を近づけて言ってくる男に何をぶちこんでやろうかと考えていると、いきなり男が呻いた。
「いってぇな!!
何しやがるこのくそガキ!!」
男に攻撃したのはエースだった。
どうやら脛を思いっきり蹴ったらしい。