第15章 ゴア王国
一発であれだけ大きく存在感のあった船がただの木片と化してしまった。
ゴア王国の貴族たちは目を飛び出させて驚いている。
『(ダークブーツがあれば飛ばされることはないけど腕が痺れる…
これは連発できないね)
【卍解 千本桜景義】』
次に桜姫と呼ばれる由縁となった千本桜を発動する。
天「わわわわわわちしをここここ殺すのかえ!?
わちしに傷ひとつでもつけてみるえ!
政府が黙ってないえ!」
船を一瞬で破壊されたことにより恐怖で腰が抜けてしまっている天竜人を恋歌は冷たく見下ろした。
『そんなことどうでもいい
私を捕らえることができるのならば捕らえればいい
だけど今は邪魔は入らない』
千本桜で小さな傷を何本も付けていくことにより恐怖心をどんどん煽っていく。
『身分も階級もそんなのはいくつだってあってもいい
でも人間が人間を奴隷にするのは間違ってる
どんなに身分に差があろうと生きているということに変わりはないのだから』
顔の周りにあった変な硝子のようなものも千本桜で壊し、顔にも傷を付ける。
服も血だらけになり、深い傷はひとつもないが傷の数が多すぎる。
『誰かを殺すということはあの子の意思に反することになる
だからそれはしない
でも』
恋歌は千本桜を止めて息を切らした血だらけの天竜人に近づく。
右手を鋼鉄化し拳を握る。
『一発は殴る』
そして渾身の力を込めて天竜人の顔面を殴り飛ばした。
『ふん』
恋歌はこれで少しはすっきりしたのか気絶した天竜人をほって、呆然とするゴア王国の貴族たちの前から姿を消した。