第15章 ゴア王国
サボは入り江に着くと近くにあった漁船をひとつ盗むと自分のイニシャルの入った海賊旗を掲げて出航した。
『(それがサボが選んだ自由なんだね)』
恋歌がふとサボの進む先を見ると世界政府の帆を付けた大きな船がそこまで来ていた。
『(あれが天竜人の乗っている船ね)』
おそらくあの大船が停泊するであろう港ではゴア王国の貴族たちが出迎えていた。
何か歓声とは別の騒ぎの声が聞こえる気がするが何を言っているのかまではわからない。
サボの船が天竜人の乗っている船に当たりそうだったときははらはらしたが航路が逸れたサボの船を見てほっとした。
このまま順調に行けばいいと、そう思っていた。
だが、天竜人がサボの船を撃った。
小さな漁船であるサボの船は火が付いて今にも沈みそうだ。
『なっ!?』
恋歌はすぐさまサボの船に向かって飛んだ。
サ「ちくしょう…!
いきなり撃ってきやがった…!!」
サボは火を消そうと服で火を抑える。
だが、火が回るのが早すぎて間に合わない。
『サボ!!』
サ「母さん!!」
恋歌がサボを抱えて飛び立とうとした瞬間に天竜人がもう一度撃ってきた。
サボがいる以上応戦するわけにもいかず、そのまま飛び立った。
その瞬間船は木っ端微塵になってしまった。