第15章 ゴア王国
サボのペンダントの気配を頼りに誰にも気づかれることなく屋敷の中を歩く。
サボを見つけると、サボより幾つか年下の少年と話しているようだった。
近くにあの父親はいない。
『サボ』
恋歌はサボに火事のら事について聞いてみることにした。
名を呼べば驚いたように勢いよく振り向いたサボ。
そんなサボに恋歌は微笑みで返す。
サ「な、何でここに!?」
『近くを通りかかったらそのペンダントの気配がしたからよってみたの』
「おい!お前誰だ!」
サ「よってみたのってそんな簡単に入れる所じゃないぞ?」
「おいってば!」
『そう?
案外簡単に入れたけど…』
「無視すんな!」
サ「まぁ俺でも逃げ出せるぐらいなんだから母さんが忍び込めない筈がないか…」
「この…無礼者!!」
恋歌とサボで無視をし続けていた少年がしびれを切らしてサボの視線にあわせてしゃがんでいる恋歌の腕を思いっきり引っ張った。
転ばそうと思ってしたことだったが予想外にも恋歌はびくともしなかった。
そのことに少年は少なからず驚いているようだ。