第14章 家族
エ「昔はずっと俺の側に居てくれた
二人で寝てくれたし、二人でご飯も食べて、二人で風呂も入ってくれた
血なんか関係なく俺が唯一家族だと認めたのは母ちゃんだけだ
でもここに来る前からそいつと知り合いで名前まで呼ばれてて無性に腹がたった」
『エース…』
エ「母ちゃんを信じてないわけないじゃねーか
寧ろ母ちゃん以外の人間はほとんど信じてないぐらいだ
勝手だってわかってる
でも俺以外のやつに構ってほしくないって…そう思った」
そこで言葉を切って恋歌の胸に顔を埋めるエース。
まさかエースがそこまで自分のことを想っていてくれていたとは…。
嫌われていないのはわかっていた。
だが、ここまで言われるとは。
『嬉しい独占欲ね、エース
ここまで貴方に想われて私は幸せよ
でもね、エース
私はエースも大切でルフィも大切なの
二人とも守るべき対象であり、二人とも大好きよ
怪我をしたのが貴方でもルフィでも私は治すわ』
エ「わかってる
それが母ちゃんで、母ちゃんが優しいってことも十分理解してる」
『優しくするのは誰にでもじゃないわ
今のところはエースとルフィだけかな』
エ「それがわかんねぇ
でも意味わかんねぇことがあるのが母ちゃんだからな」
そう言って笑ってくれるエースは先程の泣きそうな声からは想像できない明るさだった。
『意味わかんねぇって失礼な…
ねぇエース?
昔私がエースに時が来たら話したいことがあるって言ってたの覚えてる?』
エ「うん」
『それももうちょっとだから
もうちょっとしたら全部話すからそれまで待ってて』
エ「母ちゃんの頼みならしょーがね」
『大好きよエース』
恋歌が満面の笑みで言えばエースは照れくさそうに俺も…と呟いて恋歌の腕の中でもう一度眠りについた。
恋歌はエースの背中をぽんぽんと叩きながら大きくなったなぁと改めて実感していた。
そして三人はダダンが怒鳴って起こしに来るまで眠ってしまっていた。