第13章 再会
エースが聞いていたことを恋歌は知っていたが、途中で気づいたため敢えて何も言わなかった。
自分の気持ちに嘘偽りは一つもない。
恋歌が風呂に行こうとするとエースが着いてきた。
どうしたのかと問うと見張ってくれるのだそうだ。
恋歌はエースの手を引いて風呂まで上機嫌だった。
ドラム缶の風呂に入るのははじめてで少し嬉しい。
心なしか恋歌の目もきらきらしている。
『エース!
私こういうお風呂はじめてよ』
タオル一枚だけ巻いた状態の恋歌を見てエースは慌てて視線を反らす。
エ「そっか、母ちゃんが喜んでくれたならよかったよ
見張りは俺がするしゆっくり浸かってればいいよ」
そのまま離れようとするエースを恋歌は呼び止める。
『ねぇエース
さっきのダダンさんと私の話聞いてたでしょ』
それは疑問ではなく確証のある言い方。
エ「やっぱ母ちゃん誤魔化せないな」
『まだまだ息子には負けません
それで?』
エ「それで?って…」
『着いてきてくれたのはもちろん見張りをしてくれるためでもあるんだろうけど他にも何か別の理由あるんじゃない?』
エ「それは…」
恋歌はお湯につかりドラム缶の縁に腕を乗せて側にいるエースを見下ろす形で話す。
しかしエースは口を開こうとしない。
『エースはさ"桜姫"って知ってる?』
急に話が変わったことに疑問を感じたが先程の質問よりは答えやすいので返答する。