第1章 ラギー
「ラギーせんぱーい」
呼びかけながらギィ、とラギー先輩の部屋を覗く。
「あれ、いない、、」
ぽそっとつぶやきながら中に入れば、整頓された小綺麗な部屋には、ラギー先輩の姿はなかった。
しょうがないのでいつも座っている窓際の椅子に座る。
ぼーっと外を眺めていれば、がやがやという話声と数人の足音が近づいてきた。
ばんっと、少々粗めに開け放たれた扉には、肩をくまれたラギー先輩とサバナクローの先輩がいた。
二人の先輩に肩をくまれたラギー先輩は、ぐったりとうなだれている。
「あっ、ゆう!」
先輩の声に、ぴく、とラギー先輩の耳がうごく。
「どうしたんですか?」
言いつつ、ラギー先輩を受け取りに近づき、「ゆうちゃん、、」ラギー先輩が力なく呟き、わたしによりかかってくる。
「うわ、とと」意外と重く、男性的なほそさのラギー先輩をなんとか抱きとめ、ずるずるとベットまで持っていく。
「それが、ラギーのやつ、レオナさんの酒間違って飲んじゃってさ」
「そーそ、だから俺らがはこんできてやったわけ!」
「つかれた!」「じゃああとはよろしくなぁ、ゆう」ひらひらと手を振り、ばたん。二人の先輩は去っていく。
おさけ、、、
大丈夫かな?
「ぐるる」小さく唸るラギー先輩の顔をのぞきこめば、いつも余裕そうな顔が真っ赤になって辛そう。
少し硬めの髪をなでれば、ぱし、手をとられた。