第10章 最終選別
「陽華さん!陽華さん!」
炭治郎に名前を呼ばれて、陽華は現実に戻された。傍には驚いた顔の炭治郎がこちらを見つめていた。
「ごめん、炭治郎が懐かしいこと言うから、ついつい思い出に耽っちゃった。」
陽華がふざけながら言うと、炭治郎も「もう、びっくりしました!」と、笑いながら言った。
その後、二人は喫茶店を跡にして、街外れまで来ていた。
「次は浅草に行くのね。気を付けて、頑張ってね。」
「はい、陽華さんもお気を付けて。」
そう言って炭治郎は、深々とお辞儀をして、街を去っていった。
去っていく炭治郎の背中を見ながら、陽華はさっき思い出した記憶を思い返していた。
(そういえば、あんな約束したな…。)
鬼を狩ることは、二人の中で当たり前になっていて、あんな約束したことさえ、忘れていた。
陽華はフフっと笑うと、
「じゃ、約束を果たすために、仕事に戻りますか。」
と、大きく伸びをして、街の中心に向かって歩きだした。
ー最終選別 完