第43章 最後の会議
「でもよ、アイツのどこまでも前向きな姿勢には、本当に頭が下がるわ。」
「あぁ、自慢の嫁だ。」
そう言って得意げに微笑む義勇に、実弥が呆れて鼻を鳴らした。
「お前も変わったなァ。…まぁ、一言多いところは、変わってねーけどなァ。」
そう言って実弥は軽く笑った。
その時ちょうど、桜の花を堪能していた陽華が戻ってきた。陽華は戻るなり、穏やかな表情を浮かべて話をしている二人を見て、驚いたように二人に問いかけた。
「ねぇ、何の話をしてたの?」
「お前の旦那の惚気だァ。」
実弥が呆れたように言うと、陽華は嬉しそうに食い気味に義勇に顔を向けた。
「え、嘘!?…聞きたい!」
陽華は、興味津々に義勇の顔を覗き込むと、義勇は微笑みながら陽華の頭を撫でて、こう言った。
「ここだと、独り身の不死川が可愛そうだからな、後で二人になったら、たっぷり聞かせてやる。」
それを聴いた実弥の顔が、怒りで引き攣る。
「この糞がァ。今すぐにでも、息の根を止めてやろーかァ?怪我の調子もいいし、今ここで、決着付けてやらァ!」
そう言って、刀に手を掛ける。
「不死川、その事で相談なんだが、俺たちはもう、老人並の体力しか残ってない。ここは平和的に、早食い勝負とかにしないか?」
義勇の言葉に、納得したように実弥が頷いた。
「まぁ…確かに。無駄に体力使って、寿命縮めることもねェーしな。」
それを聞いていた陽華が慌てて二人に忠告する。
「え!?二人共、調子に乗って、喉に詰まらせたりしないでよ?」
「ふざけんなァ、そんなジジィじゃねーわっ!」
陽華の言葉に、顔を怒りで歪ませた実弥が、盛大にツッコんだ。
ー 最後の会議 完