第42章 ※繋ぐ想い 後編
「誰のこと、考えていた?」
「……錆兎。」
「だろう?だから、こっちに向かせた。」
そう言うと義勇は、陽華の唇に自分の唇を重ねた。そのまま唇を重ねながら、服越しに陽華の身体を弄り、柔らかな果実に到達すると、鷲掴みした。
陽華が慌てて、義勇から唇を離す。
「もうっ!……今日は何もしないってっ…、」
「お前が他の男のことを考えるから、気が変わった。しかも錆兎なら、尚更気に食わない。」
そう言って、拗ねたように唇を尖らせる義勇が余りにも可愛くて、クスクスと笑ってしまった。
陽華はそっと義勇の頬に手を添えると、優しく問いかけた。
「……するのは別にいいけど、右腕は大丈夫なの?」
「時折痛むが、負荷を掛けなければ、大丈夫だ。」
その言葉に安心して、陽華は「そう、よかった。」と呟くと、先程の続きをしようと、義勇の顔に近づいた。
そうして唇が触れる寸前、義勇が口を開いた。
「…でも、お前の方は、大丈夫か?」
「ん?私は大丈夫だよ。」
怪我の心配をされたと思い、陽華がきょとん顔で答えると、義勇は気まずそうに視線をそらしながら、小さい声で聞いてきた。
「……いや、大丈夫な日かと、聞いている。」
「あっ、……んーと。」
義勇に言われて、最後にあった日から、指折り数えてみる。
「うん、そんなに危険じゃないよ。中に出さなければ、大丈夫だと思う。」
「そうか、これからはそういうのも気にしないとな。」
義勇が気を使うように、優しく微笑んだ。
(そっか。これからは、こういう事にも制限が出てくるんだ。……そういえば、そう言う薬もあるっていうけど、今度処方して貰った方がいいかな…。)
「陽華?」
色々と考えていると、また自分の世界に入ってしまっていたのか、義勇が心配そうに、声を掛けてきた。
陽華は義勇に心配させまいと笑顔を返すと、その顔を寄せ、静かに唇重ねた。
これからも、どんどんと出来る事が制限されていくだろう。陽華は心にまた一つ、何かモヤモヤとしたものが、広がっていくのを感じた。