第7章 ※制御不能
鬼殺隊の任務で、陽華と義勇は、とある街に来ていた。
ここのところ、連日のように子供が行方不明になっているという街。何人かの隊員が調査に向かったが、またもや消息を絶っていた。
十二鬼月である可能性が高いため、近くにいた柱の中から、二人が選ばれた。
「久しぶりの合同任務だね。」
陽華は笑顔で義勇に喋りかけた。
義勇は優しい顔で陽華を見つめると「そうだな。」と呟いた。その顔の破壊力に、陽華は義勇を直視出来ず、思わず顔を反らしてしまった。
(きゃ~!なになに、今の顔っ!?)
仲直りから、数日で訪れた再会。あの日から義勇は優しくなった。笑顔とまでは行かないが、かなり表情が柔らかくなった。
只でさえ、愛想なく歩いていても、女の子達が振り返ってしまうのに、今の顔されたら、イチロコだ。
「義勇、駄目よ!今の顔は駄目!」
「なんだ、いきなり。」
義勇は精一杯の優しさを表現した顔を否定されて、意味がわからず首を傾げた。
街に中程まで入ったところで、鴉からの指令内容を再度確認した義勇は、陽華に問いかけた。
「昼は情報収集のため、別行動にした方がいいと思うが、いいか?」
いつもだったら、勝手に決めて、勝手に行ってしまう義勇が気を使ってくれている。
「うん、わかった。じゃ、あそこの茶屋で待ち合わせしよ?」
通り沿いにある茶屋を指差して、陽華が言った。義勇はコクリと頷くと、人混みへと消えて行った。
陽華は去っていく義勇の後ろ姿を見て、
「……なんか、無理させちゃってるかな。」
と呟いた。