第40章 柱
さらに数日が経ち、不死川実弥の意識が戻ったとの知らせを聞いた陽華は、実弥の病室に訪れた。
しかし、本当に起きたばかりだったため、医者やアオイ達が、ひっきりなしに動き回り、陽華は仕方なく、日を改めることにした。
翌日、自分の診察を終わらせると、陽華は実弥の病室に行ってみた。
開け放たれた扉から中を覗き見ると、実弥はベットに横たわったまま、静かに窓の外を見ていた。
窓からは、綺麗な青空が見えていた。
「…実弥?」
陽華が近づいて声を掛けると、実弥はゆっくりと振り向いた。
「お前かァ…、見舞いに来てくれたのか?」
陽華は頷くと、横に置かれた椅子に腰掛け、実弥の顔を見た。体中には、包帯が巻かれたままだが、顔色は良さそうで、陽華は安心したように微笑んだ。
「うん、目が覚めたって聞いたから。実弥も全然目が覚めないから、心配したじゃない。」
その言葉を、実弥は鼻で小さく笑い飛ばした。
「嘘つけェ、ずっと冨岡とイチャついてるって、胡蝶ントコのねーちゃんが愚痴ってたぞ?」
「うぅ…。ずっとって訳じゃないよ?……ちゃんと実弥の様子も、毎日見に来てたもん!…でも、実弥は容態も安定してたから…、」
陽華が言い訳するように、慌てて言うと、実弥は笑いながら「それは、ありがとなァ?」と、お礼を述べた。
「でも…心配してたって言うのは、本当だからね?…実弥は、大切な仲間だし。伝えてないこともあるし。……それに柱はもう、私達だけに…なっちゃったから。」
陽華は瞳を伏せながら、悲しそうに微笑んだ。