第33章 最終決戦 序
良く晴れた昼下がり。
鬼殺隊本部の氷渡邸の横に広がる空き地では、氷柱・氷渡陽華と、蟲柱・胡蝶しのぶによる柱稽古が行われていた。
ガッ!!
強く踏み切った大地が、大きく音を立てた。
しのぶから高速で放たれた突きを、陽華はギリギリのところで避けると、その反動を使って一回転し、横薙ぎにしのぶの横っ腹目掛けて木刀を振りぬいた。
しのぶはそれを、蝶が風に舞うようにヒラリと交わすと、そのまま陽華の数メートル先に音も立てずに舞い降りた。
そのまま一呼吸も置かずに、大地を蹴ると再度、鋭い付きを繰り出してきた。
陽華はそれを木刀の刃で受け止めた。
ミシィっ!
木刀が軋む音が聞こえ、陽華は慌てて木刀を振り上げて、しのぶの木刀を払った。その瞬間、メキッと音を立てて木刀が真っ二つに割れた。
陽華はしのぶが着地したのを確認すると、折れた木刀を見せつけて、ため息を突きながら言った。
「毎回思うけど、練習用の木刀って弱すぎじゃない?」
「真剣だと思って振るからですよ。」
それを言われちゃ稽古にならない。陽華はそう言おうと思ったが、止めた。何回この会話をしたんだろうか?
「なら一度、刀でやってみます?」
そう提案してきたしのぶに、陽華はやんわりとお断りを申し上げた。切り傷ならいいが、毒はやだ。