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【鬼滅の刃】水魚之交

第32章 宴





「おい、伊黒ォ。目が据わりはじめてんぞ?もう、降参かァ?」

実弥がニヤつきながら、小芭内をねめ付けると、小芭内は据わった目で反対に実弥を睨み付けた。

「いやだ、絶対負けたくない。」

小芭内はそう言って、意地になって杯を飲み干した。その姿に隣で審判員として勝負の行方を見守っていた天元は、楽しそうに二人を眺めながら言った。

「しかしよ。俺にとっちゃ、お前ら天然記念物もんだぜ?二十歳越えて嫁も取らずに、童貞大切に守ってるなんざ。どうせ、夜中に好きな奴の恥ずかしい姿でも妄想して、一人で慰めてんだろ?」

その言葉に実弥は額に青筋を浮かべ、天元を睨み付けた。

「…てめェ、そろそろ殺されてェか?」

「おう、熱いねぇ?だから、俺がチャンスをやろうって言ってんじゃねぇーか?」

天元はそう言うと実弥の肩に腕を回し、自分の方に引き寄せた。そして耳元で囁いた。

「まぁ…、お前はかなり望みが薄いだろうけどなぁ?」

ピキッ!!

「ふんっ!!」

次の瞬間、とうとう堪忍袋の尾が切れた実弥の一撃が、天元の横っ腹に見事に入った。そしてその数分後、四人の傍らには物言わぬ天元の肢体が転がった。

「さぁ、続けンぞォ?」

「宇髄はいいのか?」

義勇が隣で死んでいる天元に、チラチラと視線を送りながら問いかけた。すると、冷めた視線を天元に向けた小芭内が答えた。

「ほっておけ、あれは宇髄が悪い。」


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