第31章 ※媚薬
ー 蝶屋敷
「あっ!!」
自分の診療部屋の、棚の中の薬を見ていたしのぶが突然驚いたように声を発した。隣で整理整頓していたアオイが、声を掛けた。
「しのぶさん、どうかしましたか?」
「あ、いえ…。」
(……薬、間違えちゃった。宇髄さんに、三人の相手は辛いからって、頼まれてた精力剤。陽華に渡しちゃった…。)
しのぶは一瞬、真っ青になったが、
(でも、柱ならまだ後1日くらいは耐えれますね。)
開き直って、うんうんと頷いた。
「……しのぶさん?」
しのぶの動きを不振に思い、アオイは首を傾げた。しのぶはそんなアオイの不信感を拭うように、笑顔を向けると、
「さ、アオイ、今日はもう寝ましょう。」
と、声を掛けた。
(陽華、明日は睡眠薬あげますからね。あの薬、すごい強力だから、明日はもう必要ないかもしれませんけど…。ごめんね。)
そう心の中で陽華に謝りながら、しのぶは、自分の寝室へと向かった。
次の日、しのぶから謝罪と睡眠薬を渡されたが、陽華達は使うことなく、眠りについたのだった。
ー媚薬 完