第30章 ※お仕置き
その日、柱稽古から帰って来た陽華は、義勇の様子がおかしいことにすぐに気がついた。
いつもなら、真っ先に抱きついて来るのに、今日はない。
(…それどころか、理由を聞いて欲しそうに、すごいチラチラ見てくる。)
とりあえず、陽華は様子を見てみることにした。
しかしそれは、就寝時まで続いた。
いつもなら、布団が二つ敷いてあっても、必ず陽華の布団に入ってきて、陽華を抱き枕のようにして、抱きついてくる。
しかし、いくら待っても、今日の義勇は自分の布団に入ったまま、陽華に背を向けていた。
(なんか、寂しくなってきた…。)
陽華は耐えきれず、とうとう義勇に声を掛けた。
「ねぇ、義勇。なんか…怒ってる?」
義勇の身体がピクッと反応した。
「…別に怒ってはいない。」
そう言って相変わらず背中を向けている義勇に、陽華は寂しそうに問いかけた。
「じゃ、一緒に寝よ?最近いつも義勇と寝てたから…一人じゃ寂しい。」
すると突然、義勇が飛び起きた。陽華の方を向くと、「おまえは、また…、」そう呟いて、顔を赤くさせた。