第28章 実弥
後日談
「不死川ー、いるかー!」
義勇は不死川邸の玄関で叫んだ。しばらくすると引戸が開き、実弥が顔を出した。
「冨岡、何しにきやがったァ?」
(やっぱり顔が怖い…。)
「この間、何か機嫌を損ねるようなことしてしまったらしいから、詫びを持ってきた。」
「心当たりがねェなら、来るな。」
「おはぎだ。」
「相変わらず、聞いてねェな。つか、いらねェーよ、持って帰れ!」
「そうか、残念だ。せっかく陽華が作ってくれたんだが…、」
義勇は残念そうに背中を向けて帰ろうとしたが、その肩を実弥に掴まれた。
「まてェー!…今なんて言った?」
「陽華が作った…か?」
怪訝な顔を見せる義勇に、実弥は目を反らすと、小さな声でこう言った。
「…食う。」
「そうか!じゃ、邪魔するぞ。」
「おい、邪魔するなァ。置いてけばいいだろ?」
「陽華に、一緒に食べてこいと言われている。感想も聞いてこいと。」
「チッ。一個食ったら帰れよォ。」
「了解した。不死川、やはりおはぎにはお茶だと思う。茶を出してくれ。」
「アァ?色々と、図々しい野郎だな。」
その後、二人は一緒におはぎを食べた。仲良くなれたみたいで(義勇の妄想)、少し嬉しくなった義勇だった。
ー実弥 完