第27章 ※初めての夜
行灯の柔らかな光が揺らめく寝室で、義勇と陽華は向かい合って座っていた。
義勇は手を伸ばすと、陽華の腕を掴んで引き寄せた。顔が静かに近づき、その唇に義勇の唇が触れる。
優しく啄むような口づけが何度か続き、陽華はもどかしさに体を震わした。
ちゅっ、ちゅっと小さな音だけが、部屋の中に響く。
「ぎゆ…う…、」
陽華が小さく呟くと、陽華の腕を掴んだ義勇の手に力が入り、触れるだけの口づけから、ねっとりと吸い付くような口づけに変わった。
優しくこじ開けた唇の隙間から、義勇の熱い舌が入り込み、陽華の舌を絡めとった。
その舌の動きに合わせるように、陽華も舌を絡める。
吸いきれない唾液が唇の端から溢れてゆっくりと滴り落ちていった。
義勇はゆっくりと唇を離すと、その唇を陽華の瞳に、耳に、頬に、顎に、首筋に順番に口づけた。一つ一つ、愛しいものを愛でるように優しく、ゆっくりと。
「…義勇、くすぐったい。」
陽華が小さく身体を震わせると、義勇は首筋に舌を這わせた。
「ひゃぁ…、やっ…、」
義勇は首筋に吸い付きながら、陽華の浴衣の帯を外した。襟を掴み、開くと、肩からしゅるっと音を立てて、浴衣が腰まで落ちて行き、陽華の白い肌が顕になった。
義勇はその白い肌をじっくりと見詰めると、
「……綺麗だ。」
そう呟いた。陽華は頬を赤らめながら、恥ずかしそうに小さく首を降った。
「綺麗じゃないよ。だって、傷だらけだもん。」
お腹に付いた一際大きな傷跡を撫でた。
「そんなの…問題ない。」
義勇は陽華の肩に付いた傷跡に優しく口づけ、そのままゆっくりと押し倒すと、傷跡一つ一つに口づけをしていく。
「やぁ…、(なんか、変な気分になっちゃう…)」
義勇の唇が優しく触れ、熱い息がかかる度、鈍く痺れるような感覚が走った。
しかし、陽華が一番触れて欲しい敏感な部分には、触れてくれない。そのもどかしさで、身体が疼いた。