第26章 柱稽古の後
懐かしくも苦い子供時代を思い出して、思わず苦笑した。
ずっと虚勢を張って、柱に相応しい自分を演じていたけど、本当の義勇は天然で甘えん坊でさみしがり屋で、優しくて、子供の頃からちっとも変わってない。
陽華は、両手で義勇の顔をぎゅっと挟み込んだ。
「そんな顔をしないの!片付けて明日の準備したら、また後で来るから……一緒に寝よ。」
その言葉を聴いて、義勇がぱっと顔を輝かせた。
その姿があまりにも可愛すぎて、抱きしめたくなる衝動を刈られながらも、我慢して陽華は立ち上がった。
義勇は陽華を玄関まで見送ると、
「送るか?」
と問いかけた。
「大丈夫だよ。じゃまたね。」
しかし、去ろうとする陽華の手首を義勇が掴んだ。驚いて振り替える陽華に、義勇は顔を付き出して待ってた。
(え?これ、ちゅーしろってこと?)
戸惑いながらも陽華は、自分の唇を義勇の唇に重ねた。そして義勇の顔を見ないように、そそくさをその場を立ち去った。
ー やばい。私、この後耐えられるの?悶絶死してしまうかも。
陽華はそんな事を考えながら、ゆっくり暗くなる道を足早に歩いた。
ー柱稽古の後 完