第25章 柱稽古
しかし義勇は、出口付近で立ち止まった。そして何か思い立ったように振り返ると、また陽華に向かって歩いてきた。
「え、今度は何?」
嫌な予感に身構える陽華の首に、義勇は腕を回すと引き寄せ、その唇に自分の唇を重ねた。
「おおぉ~!!」
道場からどよめきが起こった。
義勇は陽華から離れると、ニコッと笑って、道場から出ていった。陽華は何が起こったのか理解出来ず、へなへなとその場に崩れ落ちた。
その瞬間、道場にいた隊員達から歓声が沸いた。
「陽華さん、おめでとうございます!!」
「冨岡さんて冷静な人に見えてたのに、意外に熱い人だったんだな。」
「水柱、かっけぇー!!」
口々と飛び交う会話を聴きながら、陽華は気力を振り絞り、立ち上がった。
「は、はは。みんな、ありがとう。」
そういうと、苦笑いを浮かべた。
この日この出来事は、鬼殺隊の伝説となった。
ー 柱稽古 完