第25章 柱稽古
「氷柱、寝ている人がいます!」
一人の隊員が手を上げ、寝ている隊員を密告した。
「あぁ、別にいいの。この歴史の授業は、私のただの趣味だから。でもこの後の呼吸の稽古は覚悟してね。全員、地獄を見てもらうから。」
陽華の優しい微笑みに、その場にいた隊員全員が震え上がった。
その時だった。
ガラッ!!
突然、道場の扉が開いた。その場にいた全員の視線が入り口に注がれる。開いた扉の向こうには、1人の青年が立っていた。
「義勇!?」
陽華は驚いて声をあげた。
「ちょっと話し、いいか?」
つかつかと近づいてきた義勇は、道場にいる隊員達など気にする様子もなく、陽華に問いかけた。
「え…今?……いや、今は、」
隊員達をチラチラと見ながら、陽華はしどろもどろに答えた。義勇は陽華の前に来ると、真剣な顔で見つめた。
(…すごい、真剣な顔。…何を話すの?)