第25章 柱稽古
パァン!
託された未来を お前も繋ぐんだ 義勇
頬を張り飛ばされた衝撃と痛みが、鮮やかに甦る。
俺は何をしていたんだろう。
大切な友の言葉をなかったことにして…。
大切な人を傷つけて…。
穏やかな日の光が降り注ぐ鬼殺隊本部。
氷柱・氷渡陽華の屋敷の敷地内にある道場では、氷柱による柱稽古が行われていた。
内容は、鬼殺隊の歴史と呼吸。
「こうして、鬼殺隊は始まりました。」
手に持った、古い資料を読み上げながら、陽華は隊員たちへ目を向けた。
後ろの方で、顔見知りの隊員がこっくりこっくりと揺れている。それを陽華は微笑ましい気持ちで、見ていた。
この資料は長年、産屋敷家に受け継がれている鬼殺隊と鬼との、壮絶な戦いの記録。
柱になれば、閲覧が許される。
別にこの稽古で歴史の勉強はおまけだった。メインの稽古は呼吸の強化だから。
でも知っていて欲しかった。この長い歴史の中で命を掛けて戦った、剣士達のことを。
だから今回、この資料を使わせてほしいと、お舘様に直談判し、許可を貰ったのだった。