第23章 弟弟子
「…見極めたかった。陽華を任せられる男かどうか。…お似合いだったな。あいつなら顔に傷もあるし…、任せられる。」
そう言う義勇からは、悲しさや虚無感が漂っていた。
「顔に傷?…なんの定義ですか?(…納得したような言葉言ってるけど、義勇さんからは、吹っ切れた匂いが全然しない!)」
哀愁漂う兄弟子の姿を見て、炭治郎は言葉を選びながら、励ましの言葉を掛けた。
「義勇さんっ!俺は義勇さんの方が、全然お似合いだと思いました!
なんか、自然…て言うか、お互いがお互いの事を理解してるから、出る雰囲気が本当に素敵で…、」
炭治郎の気遣いが本当に伝わってきて、義勇は思わず炭治郎に微笑んでいた。
「炭治郎、ありがとう。」
「義勇さん…。(きゅん…。うちの兄弟子、やってること微妙だけど、顔だけは男前でクッソ格好いいなっ!)」
しかし、炭治郎にはこれ以上義勇に、掛けてやれる言葉が見つからなかった。
静かに歩きだした義勇の後を、付いていくことしか出来なかったが、それも義勇の次に発せられた言葉で出来なくなった。
「炭治郎、すまない。今この時だけは一人にしてくれないか?」
「あ、はい。」
そこから離れるのも憚られ、炭治郎は義勇の去っていく後ろ姿が消えるまで、それを見つめていた。
しかし、誰もいなくなるとふと思った。
「あれ?ここから、どうやって帰るんだっけ?」
ー 弟弟子 完