第23章 弟弟子
「ああぁぁぁぁ!!」
突然、義勇が頭を抱えて叫びだした。炭治郎はびっくりして、義勇の肩を掴んで揺らした。
「し、しっかりしてください!」
義勇は荒い息を整えると、炭治郎に向かって言った。
「はぁ…はぁ…。…炭治郎。もう帰っていいぞ。もしかしたら、朝までかもしれない。」
真っ青な顔をして言う義勇を放って置けず、炭治郎は「大丈夫です、いつまでも付き合いますよっ!」と、義勇に向かって言った。
炭治郎が義勇の背中を優しく擦ってやっていると、屋敷の門辺りから声が聞こえて、陽華と実弥が出てきた。
その姿を見て、なんだかよくわからないけど、炭治郎は心の底からホッとした。
「今日はご馳走様でした。すっごい美味しかった!実弥にこんな才能があったなんてね。」
そう言って頭を下げる陽華に、実弥は優しく微笑んだ。
「お粗末様でした。…屋敷まで、送ってやらぁ。」
「鬼殺隊本部の敷地内だよ?一人で帰れるよ。」
「…なんかその、もう少し…話してぇからよ。」
「ほんとに今日はどうしたの?すごく優しいし。なんかいいことあった?」
「な、なんもねぇーよ。けど大きな戦いを前に、少し感傷的にはなってるけどな。」
「ふふ、珍しい。よし、送らせてやろう。」
「なんだ、そりゃぁ。」
楽しそうに談笑しながら、義勇達の前を通りすぎていく陽華達の姿を、義勇は黙って見つめていた。
そして、姿が見えなくなると、おもむろに立ち上がった。
「義勇さん?」