第22章 柱合会議
どうやら行冥は、川に落ちて流された実弥を追って来てくれたらしい。
「不死川が無事で良かった。」
そう泣きながら言う行冥に、実弥は顔を引き釣らせながら、「ありがとうございます。」と言った。
その後、陽華達は行冥によって、なんとか知ってる道まで連れていって貰えた。
気を使って、陽華の屋敷まで送ってくれた実弥が、去り際に心配そうに陽華を見た。
「一人で大丈夫かァ?」
「うん。今はそれどころじゃないでしょ?柱稽古のことを考えなくちゃ!」
今出来る精一杯の笑顔で答えると、実弥は陽華の頭にポンと手を置いた。
「あぁ、頑張ろうな。」
そう言って、その場を後にしようとした実弥だが、数歩進んで何かを思い立ったように立ち止まり、ゆっくりと振り向いた。
「なぁ。…もし、お前の中の冨岡がいなくなることがあったら、聞いて貰いてェ話があるんだ。いいか?」
「うん、わかった。」
陽華の返事に満足したように微笑むと、実弥はまた歩き出した。その背中を見ながら、陽華は大きく息を吐いた。
そう、今は義勇のことなんか考えている暇はない。柱として、これからの事を考えなくちゃいけない。
自分は柱なんだから…。
初めからそのつもりだった。それに戻るだけ。みんなそうやって自分を犠牲にしてるのに、自分だけが最後に小さい幸せを手を入れようとした。その結果がこれ。我が儘を通した皺寄せが来ただけだ。
ー 私は氷柱 後はその責務を全うするだけ ー
ー柱合会議 完