第21章 ※刀鍛冶の里
陽華は山道を走っていた。行為の後、自然と涙が溢れて来て止まらなかった。義勇の顔が見れなかった。
義勇は答えてくれなかった。やっぱり自分のこと、そういう風には見てなかったんだと突きつけられた。
わかってた。わかってたのに、胸が苦しくて仕方なかった。
陽華は自分の部屋に戻り、荷物を持つと、鋼鐵塚のところに行った。刀はもう仕上がっていた。
「なんだ?ゆっくりしていかないのか?」
刀を渡しながら、鋼鐵塚が問いかけた。
「はい。急遽、任務が入っちゃって。」
陽華が刀を受け取りながらそう言うと、鋼鐵塚は残念そうにため息をついた。陽華はお礼を言って、刀鍛冶の里を後にした。
今、義勇の顔を見たらきっと涙が出てくる。そんな顔を見せたら、義勇は困ってしまうだろう。
それに勝手に好きになって、無理矢理付き合わせて、好きだって言ってくれないから泣くなんて、我が儘にもほどがある。
(…はぁ。一人になりたいのに、この仕組みどうにかならないのかなぁ。)
陽華はそう思いながら、見知らぬ隠の背中で、一人静かに泣いた。
ー 刀鍛冶の里 完