第21章 ※刀鍛冶の里

陽華は与えられる快感に耐えながら、うつろな瞳で義勇を見た。
夢中に自分の身体を愛撫する義勇を見ると、胸がきゅんとなった。

この行為の時だけ、義勇は陽華を、陽華自身だけを見てくれる。夢中で求めてくれる。

求められる快感を知ってしまったから。この快感を得たいが為だけに、これが無意味な行為だとわかっていても、義勇を挑発してしまう。

このひとときの愉悦の為なら、軽い女だって思われても構わない。義勇を自分の物だと思える、唯一の瞬間の為なら…。

急に愛しさが溢れだし、陽華は義勇の頭を、ぎゅっと抱き締めた。

「義勇…好き。」

感情が高ぶり、思わず口を衝いて出た。

その言葉に反応して、義勇は陽華の顔を愛おしそうに見つめ、言葉を返そうと口を開いた。


「………、」


しかし、言葉が出てこない。口をパクパクさせるだけで音が出てこなかった。義勇は動揺し、その顔は明らかに困惑していた。

義勇のその姿に、陽華は慌ててその唇を自分の唇で塞いだ。

言ってはいけなかった。出してはいけない言葉だった。こんな顔をさせるとは思わなかった。

最近の義勇があまりにも優しいから、同じ言葉を返してくれるんじゃないかと、勝手に期待してた。