第21章 ※刀鍛冶の里
「ありがとう。」
陽華はそういうと、義勇の背中に自分の背中を合わせて寄りかかった。
「……っ!」
いきなり、背中に柔らかな肌の感触を感じて、義勇は息をのんだ。
「だから、おまえはどうして!」
義勇は堪らず立ち上がり、振り向いてしまった。陽華は背中にあった拠り所を失くして、よろめき、お湯の中に仰向けに沈みそうになるのを片手で防いだ。
その為、義勇からは陽華の身体全体を上から見下ろす形になり、義勇は慌てて顔を背けた。
「今、見たでしょ?」
陽華の問いかけに、義勇は顔を赤くしながら、小さな声で、
「…見た。」
と答えた。義勇は暫く何かを耐えるように目を瞑っていたが、「あぁ、もう!」と呟くと、振り向いて陽華に近づいた。
その腕を掴んで立ち上がらせると、すぐ近くにあった大きな岩に抑え付けた。義勇が真剣な顔で、陽華を見つめる。
「…お前が、挑発したんだからな。」
義勇は、陽華の唇に食らいつくように、自分の唇を重ねた。