第19章 ※青空の下
(この…このっ…、無自覚天然タラシ!!)
陽華は顔を手で覆ったまま、顔をプルプルと横に降った。
「陽華?」
「もういいからっ、お風呂沸かしてよっ!」
「うちで入っていくのか?」
「こんな上も下もぐちょぐちょじゃ、帰るに帰れないでしょ!」
「わかった…。」
義勇は立ち上がり、風呂場に向かい廊下を歩き出した。しかし、思い付いたように立ち止まると、陽華の方を見た。
「あ、陽華…、」
その声に反応して、陽華が義勇の顔を見ると、義勇はいつもの無表情のまま、こう言った。
「一緒に入るか?」
「ば、ばかっ!!」
そう言って陽華は、傍らにあった棒状の何かを義勇に向かって投げつけた。義勇はそれをキャッチすると、その正体を見て驚いた。
「さすがに、刀は危ないだろっ!」
義勇が抗議の声を上げると、
「うるさいっ、早く行けっ!!」
と、陽華の怒号が飛んだ。義勇はこれ以上怒らせてはまずいと思ったのか、慌てて風呂場に向かっていった。
あれを全て天然でやってるから、本当にたちが悪い。
(私ばっかりが、義勇にドキドキさせられてて、悔しい…。)
陽華はフーッと深くため息を突くと、空を見上げた。
そこには、綺麗に澄みきった青空が広がっていた。
ー 青空の下 完