第19章 ※青空の下
「義勇、いるー?」
雲ひとつない、真っ青な空が広がる昼下がり。
鬼殺隊本部に訪れていた陽華は、義勇も帰っていると聞き、義勇の屋敷を尋ねた。玄関の前で、義勇を呼ぶも返事がないので、裏に回ってみた。
「ぎゆ…う?」
陽華は縁側で横になって、うたた寝している義勇を発見した。
隊服は着たまま、恐らく疲れきって帰って来て、ここで落ちたのだろうと予測できた。陽華は義勇の顔を覗き込んだ。
白い陶磁器のような肌、切れ長の目に長い睫毛。すらっとした鼻筋。それでいて、薄いピンク色の唇が少し半開きになって、安心しきって無防備な状態であることがわかり、可愛さを覗かせていた。
(天使!天使がいる!)
あまりの可愛さに、陽華は身悶えた。小さい頃から変わってない、可愛い義勇の寝顔が久々に見れて、陽華は暫くその顔を見とれていた。
次第に意地悪したい気持ちになり、頬をツンツンつついたり、唇をプニプニと押してみたりした。
そして陽華は、周りを確認すると、
「これくらい、いいよね?」
と、寝ている義勇の唇に自分の唇を重ねた。長い口づけの後、唇を離すと陽華は義勇の顔に掛かった髪を、静かに手で払った。
すると突然、その手を義勇が掴んだ。
「あっ、起きちゃった?」
陽華が恥ずかしそうに義勇の目を見つめると、義勇はまだ覚醒していない寝惚けた目で、陽華を見つめ返した。そして…、
「……陽華、もっと…してくれ…、」
と呟くと、陽華の顔を引き寄せ、唇を重ねてきた。
(え?寝惚けてるの?自分からちゅーのおねだりなんて…!!)