第14章 柱合裁判
柱合会議の為、お館様の屋敷に訪れた陽華は、庭に集まった柱達の様子に異変を感じた。
良く見ると、庭に何かが転がっている。
柱達の視線はそれに注がれていた。陽華は静かに柱達に近づくと、転がったそれを横から覗き見た。
しかし見た瞬間、驚きのあまり声を出してしまった。
「た、炭治郎!?」
そこには後ろ手に縛られ、意識なく横たわる、可愛い弟弟子の姿があった。
陽華は瞬時に状況を察し、奥の方にいた義勇に目を向ける。義勇は遠くの方から、陽華のことを、無表情で見ていた。
(…なに?どういう気持ちの顔、あれ。)
陽華は、遠くからでもわかる義勇の哀愁を帯びた無表情顔を見て、色々と考えてみた。
(何も言うな?もしくは、代わりに説明頼む?え?どれ?…て言うか、私任せなの?)
「やはり、お知り合いでしたか?」
陽華が頭の中で、いろいろ考察してる間に、しのぶが話しかけてきて、陽華はその場に固まった。
「あ…、弟弟子…です。」
「では、ご存じだったのですか?」
詰め寄るしのぶから、目線を逸らす。それはきっと、自分たちの一門が犯した、隊律違反についてのことだろうと、予想はできた。
「あぁ…たぶん、ご存じ…かな。」
自分でも受け答えがおかしくなっているのを感じていた。
陽華の様子を見て、しのぶはため息をついた。
「冨岡さんは、あの通りですし。陽華、ご説明、お願いします。」
「うーん。私が説明するより、本人の話を直接、聴いた方が…いいんじゃないかな。」
そう言うと、傍にいた隠が、炭治郎を起こすため、身体を揺さぶった。
炭治郎が目を覚ました後の会議は滅茶苦茶だった。
炭治郎の必死の説明は、頑固な柱達には届かず、実弥は勝手に禰豆子を持ち出してくるし、だいぶ陽華を慌てさせた。
でも最後はさすが、お舘様だった。言葉を巧みに操り、柱達を黙らせた。
恐らく実弥があんな行動に出るのも予測していたんじゃないか。
結果、禰豆子が実弥を襲わなかったことで、渋々ながらも柱達は、炭治郎達を受け入れざるを得なかった。
全てはお舘様の思惑通りに話しが進んだのではないか、陽華はそう思った。