第13章 ※潜入任務
陽華がお舘様の屋敷を出ると、しのぶに出会った。どうやら、お舘様に呼ばれたらしい。
「じゃ、義勇と合同任務だ。いいなぁ。」
陽華が羨ましそうに、拗ねた顔を見せると、しのぶはクスクス笑った。
「ふふ、妬かないでください。今回は毒を使う鬼がいるようなので、私が選ばれたみたいです。」
「どこ行くの?」
「那田蜘蛛山辺りで、不穏な動きがあるとか。」
「まぁ、二人なら心配ないけど、一応、気をつけてね。」
陽華が笑顔で言うと、しのぶは「ありがとうございます。」と礼を述べ、産屋敷家の門を潜った。その後ろ姿に、陽華が声を掛けた。
「そうだ!義勇が浮気しないように、見張っててね!」
「大丈夫ですよ。冨岡さんにそんな甲斐性があるとは思えません。」
「ひどーい!でも…確かに。」
「陽華も、なかなかですよ。」
そう言って、陽華としのぶは笑いあった。
その後、一人になると途端に疲れが押し寄せてきた。
「…家、帰って寝よ。」
陽華はそう呟いて、自分の屋敷に向かい、とぼとぼと歩き出した。
ー潜入任務 完