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【鬼滅の刃】水魚之交

第12章 藤の家





(あの頃の義勇は可愛かったな…。)

懐かしい思い出に浸っていたら、疲れもあったのか、次第に目蓋が重たくなっていった。

(あ…気持ち良く眠れそう…。)

その時だった。

「ね・ず・こちゃ~ん♪起きたのー?」

「む~!!」

騒がしい声が隣から聞こえてきた。

「善逸、毎日毎日やめろっ!禰豆子も嫌がってるだろっ!」

炭治郎の制止する声とともに、バタバタと駆け回る音が聞こえた。
せっかく気持ち良く眠りに付けそうだった陽華は、現実に戻されイライラして起き上がった。



バタンっ!!

「うるさ~い!!」

「ひぃぃ!鬼っ!」

勢い良く開いた襖の向こう側に、鬼の形相の陽華が立っていた。手に握った日輪刀が銀色に光っている。その凄まじい様に思わず善逸が奇声を上げた。

「何時だと思ってる!全員、ここに正座で並べ!」

陽華のあまりの迫力に、みんな一斉に一列に並んだ。

「なんで、俺まで…。」

伊之助が抗議の声を上げたが、陽華の一睨みで、静かになった。

「子供じゃないんだから、夜中に騒ぐなっ!そ・れ・と!鬼殺隊にとって、夜眠るなんて、貴重なことなのよ!ただでさえ、こっちは連日の鬼狩りの寝不足で、お肌がボロボロなのに!その私の睡眠を妨げるなんて、万死に値するっ!」

陽華が刀を構えると、炭治郎は慌てて、

「陽華さん、落ち着いてください!鬼殺隊同士で…、」

言い終わらないうちに、陽華の剣先が炭治郎の鼻先を捉えると、炭治郎は言葉を飲み込んだ。

「元凶は誰だ?」

陽華の言葉に、一斉に善逸以外の全員が善逸を指した。

「裏切り者~!!」

善逸は泣き叫ぶように叫んだが、陽華の刀が首元を掠めると、「ア"ーーーー(汚い高音)」と奇声を上げて庭へ逃げ出した。

「こらー!待てー!!」

その跡を怒濤のごとく、陽華が追いかける。




数分後、猿ぐつわに布団と縄によって何十にも簀巻きにされた善逸が部屋の隅に転がったいた。


次の日の朝、元の優しい陽華に戻った後も、誰も陽華に逆らう者はいなかった。



ー藤の家 完
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