第1章 私の未来は変わっていく
船内がやけに騒がしくて何が起きたのかと様子を見に行けば、ポカンとした表情で座り込んでいる女を船員たちが取り囲んでいた。取り囲まれている割には焦った様子はなさそうだった。
どういう事かと声をかけるといきなり現れたらしい。何かの能力だろうと言っているが、何の能力であれば突然現れる事が出来るのか。しかし、いきなり現れたにしては動揺している様子もない。何の目的で侵入したんだ?
何の目的にしろ、侵入者を許した罪は重い。船員達にそれを告げるように覇気を少し出す。
「ふっ、ふふ…」
ふいに女が笑い出す。堪えきれないといったように…。そして笑った事に対してなのかここで初めて動揺を見せる。
「…面白いじゃねえか」
「は…?面白いって…」
「とりあえず…拘束はこれで充分だ」
「っ…は…あ…」
そう言って、心臓を取り出す。念の為に身体を分けてもいいがそうすれば連れていくのが面倒になる。
「その女からは俺が話を聞く。お前らは指示があるまで待機しておけ」
船員達がざわめく。仮に女がやばい能力者であろうと、ここまで近付いて心臓を取ってもあいつに勝てるかは分からない。なら、今ここで少しでもどんな状況でも勝てるようになればいい。
そして、女は…心臓を取り出したと言うのに差程驚いてはいない。一応驚いてはいるが…焦ったり、怯えたりがない。不思議な奴だな。そう思いながら女を無理矢理立たせる。そして、女がしっかりと俺の顔を見る。
「あー…と、その…喋る情報がないんだけど、嘘とか見抜ける?拷問されても本当に喋れないから出来ればさっさと殺してくれたら助かるんだけど」
目が合ってすぐの言葉がこれなのか。変な女だ。まぁいい、喋らないなら喋らせたらいいんだからな。