第1章 私の未来は変わっていく
シャチとペンギンがみのりを案内しに連れて行き、俺はようやく終わったとばかりに自室に戻る。
…変わった奴だ。俺達に全然怯えない…俺達が登場しているという作品の影響か?それでも、海賊と分かっているならもう少し怖がってもいいだろ。…死にたがっていたからそのせいなんだろうか…。
「…何で、俺が…気にしなきゃいけねぇんだ」
分かってる。少しだけ昔の自分に重ねてるんだ。どうせ俺の事なんか誰も助けない。ただ死ぬのを待つだけなんだと…コラさんが救ってくれるまで自暴自棄になって笑いもしなかった昔の俺に似ている…。ただ、だから、何なんだ。似ているからって俺に何が出来る。今の俺にはやらなきゃいけねぇ事がある。いちいち出会ったばかりの女の事を気にしてる暇なんかねぇ…ならそもそも船に置かなくていい。次の島で置いていけばいい。でも、それは何故かしたくない…。何でだ。
散々くだらない事で悩んでいると、ふとノックの音が聞こえる。そのまま何も喋らない。そしてまたノックの音。まさか…。
「みのりか?」
「当たりー。入っても大丈夫かな」
「あぁ、入れ。…どうした」
「んー、いやさぁ…私ってどこで普段過ごすべき?稽古中とかは外にいてもいいけど、寝る時とか着替えとか…そもそも着替えとかどうするの?男しかいないよね」
そうか…女を船に置くならそういう事を考えねぇといけないのか…。
「…ちょうど明日次の島に着く。その時に用意してやる」
「え、いいの?まだ何も働いてないのに用意してくれるの?人良すぎない?騙されない?」
「いらねぇなら裸で過ごすか」
「あぁー、いやそこは流石に女として羞恥心があるのでお願いしますごめんなさい」
ふざけた事ばかり言うが、表情は基本的に変わらない。ほぼ真顔に近く、さっきの話の時には明らかに落ち込んでいたがそれ以外はほんの少ししか変わらない。耳元で喋るなだとか顔が良いとか言う時も表情は殆ど変わらない。
「…声を荒らげたりする割には顔の筋肉は動かないんだな。多少赤くなってもすぐおさまるし…」
「んん…そりゃまぁ、そんな表情コロコロ変わるような生活はしてなかったし…むしろちょっと笑ってたら何か企んでるって言われたしね」
そう言って微かに笑うが、直ぐに暗い顔へと戻る。そんな様子にモヤモヤとするのは何でなんだ。