第6章 簓さんと漫才
「え、白膠木簓さんとコンビも組んでいいんですかね?」
「あー、さんと白膠木さんは仲が良いとお聞きしています。いいですね!多忙な方ですから御本人が良ければ構いませんよ」
簓さんと漫才をしてみたいという願望はずっと昔からあったけど、恐れ多いし口に出すことは無かった。
それに盧笙さん以外とは組みたくなさそうだったし。
でも機会があるならと打ち合わせ終わりに断られるのは承知で早速簓さんに連絡取ってみた。
「へー、シャッパレ正月やるんか。スケジュール確認するわ!」
「出てくれるの??」
「基本オファは断らん主義や、それにと漫才おもろそうやん!」
「いいの!?ありがとう!改めてオファは番組からいくと思うから宜しく!」
「了解!ネタ考えなな」
「そうだね、考えよう!」
まだ簓さんのスケジュール確認してないのにもうやる気満々だった。
憧れてる簓さんと漫才が出来るなんて緊張してしまう。
もう既に手汗がすごい。
ちゃんと漫才できるのか俺!足引っ張るなよ!?
そして簓さんから連絡がありスケジュールを押さえることができたそうだ。
番組側も白膠木簓の出演で視聴率も上がると見越したのだろう。
二人でネタを作ってはメールで送り合い、距離が遠いためネタ合わせはテレビ電話でしたり、それからまたネタの修正。
結局実際に会ってネタ合わせできたのはたったの2回だった。
収録当日。
楽屋には沢山の芸人が集結している。
挨拶回りをして一息つくと簓さんが楽屋に顔を出した。
「おるかー?」
簓さんの大きな声が楽屋に響いて、周りの芸人も思わず入口を見た。
若手芸人達はすかさず簓さんに挨拶をする。
簓さんは別室の楽屋に案内されていた、さすが人気芸人。
ネタ合わせができる場所を探して出番まで何度もネタを繰り返した。
ネタは良くできたと思うが、どこにも披露していないからウケのタイミングがわからないのが若干不安だった。
「38MICさん出番です、お願いしまーす」
ADさんに呼ばれてセット裏に立つ。
俺たちのコンビ名〝38MIC〟
漫才の時に使うセンターマイクはサンパチマイクと呼ばれている。
それから取ったのだけど少しは捻ろうよと言ったら、短期間のユニットコンビにはわざとらしい方が良いと簓さんは言った。