第2章 幻影シンガー
教台の真ん中に立ち、クラスメイト達の方を見る。
まぁ相変わらず男だらけのむさ苦しい空間で・・・
「さぁ、そこまで退屈ならば歌ってみてください。」
教師がする顔じゃないってくらい人を嘲笑うような顔をしてますよ~と突っ込みたくなったが、それに耐えてそっと目を閉じてすぅ…っと息を吸った。
――――――――♩
幸いなことに、指定したページの曲は知っていた。
そもそも、この世界自体あたしのいた世界で言うディ〇ニーヴィ〇ンズが伝説の存在と言われている世界。その世界の学校ならば曲もディ〇ニーのものだろうと思ってチラッと見てみたら、案の定知っている曲ばかりだった。
そして、指定したページの曲はあの作品の曲
陸の世界に憧れる人魚のプリンセスがいつか陸へ行きたいと夢見るあの曲。
――――――♪
あたしは昔から歌が上手だと評価されてきたが、その中でも十八番はディ〇ニーソング。プリンセスなら尚更得意だった。
それを高らかに、自慢げに、そして国で一番と謳われていたあのプリンセスのように歌って見せた。
すると、それを聞いていたクラスメイト達は愕然としていた。
歌えるとは思っていなかったのか分からないが、教師も含めて口をパクパクさせていた。
『…もういいですか?』
すべて歌いきって教師を見るとようやく我に返った教師は偉そうに咳払いをした。