第7章 恋歌エチュード
「痛って!!ウナギちゃんなんでオレを叩くわけ!?」
『やるならマナーを守ってやれって言ってんの!!ゴミは外で処分しろって意味だよ!』
と、彼女も彼女で口が悪いためまたお客さんから反感を買った。
客の男達がフロイドとアイに向かってきたが、さすがにフロイドはアイを背中に隠して客を蹴り飛ばしていく。
「おいフロイド!店内で乱闘は…」
「ちょ…あの、やめてください!」
「なんだよ、どうせ男なんだから減るもんじゃねえだろ」
と、フロイド達が乱闘をしているところから少し離れた席で今度はユウが別の生徒に絡まれていた。
『ユウ…!!』
「おやおや皆さま、もめ事ですか?」
アイが口を出すよりも先に口を出したのはアズールだった。アズールはいつもの商売用の作り笑顔で客に近づいていた。
「なんだよ、どうせこいつ男なんだからちょっとくらいお触りしたっていいじゃねえか。」
「はい、お触りは構いませんよ。ですが、彼もモストロ・ラウンジの商品です。それ相応の対価を払ったうえでのみ提供させていただきます。よろしいですか?」
「はぁ!?男ごときに金なんか出せるか!」
「でしたら、手出しはご遠慮いただきましょう。これ以上業務妨害を行うようでしたら、モストロ・ラウンジ出入り禁止もやむ負えませんよ。」
始終丁寧な口調で話しているが、穏やかそうではなかった。
彼もまた怒っているような・・・
「な…なんだよ、もう来ねえよ!」
と、アズールの圧に負けた客達が情けない声を上げて出て行った。アズールはふぅ…と息を吐いてまたいつもの笑顔でユウに問いかけた。